俗に「ニッパチ」と言われますが、例年2月と8月は油外販売が低迷する時期です。しかし当社は8月が「書き入れ時」です。 5箇所のSS合計で、油外粗利が6500万円、営業利益は1200万円、燃料指数はマイナス5.3です(表1)。 いずれも前年より大きく改善していますが、その主力は車検、車販、レンタカーです。
伸長著しいのは仲町台SSです(表2)。昨年夏にセルフ化改造するもしばらく低迷していましたが、今年の8月は営業利益400万円弱、燃料指数はマイナス5.5です。 前年同月よりも車検が160万円、車販が200万円、レンタカーは何と350万円アップしました。
グラフ1は、仲町台SSのレンタカー売り上げの推移です。
8月はレンタカー需要が1年で最高潮を迎える時期です。レンタカービジネスを始めて以来、年々増加していましたが、600万円に達した途端、2年連続で急速ダウン。それが今年はV字回復です。
8月だけではありません。実は今年2月から、月別過去最高ギネス記録を出し続けています。今回は、その顛末を綴ります。
仲町台SSのレンタカービジネスの凋落は、2012年10月に始まりました。
前年割れを起こしたのです。それ以降、2016年1月までほぼ毎月のように前年割れです。ニコニコレンタカーを開発し世に送り出した私としては、恥ずかしくて公言できませんでしたが、内心、地団駄を踏む思いでした。
その原因を以下に分析します。
とにかく「CS」(顧客満足)の改善を一貫してやってきました。 CSと言うと、何か精神論的な抽象概念ととらえられがちですが、これほどダイレクトに利益改善に貢献するのだなということを改めて思い知らされました。 当店だけではありません。 私はニコニコレンタカーのFC本部の会長でもあるので、全国1400店のCSレベルを把握できる立場にあります。CSの高い店は、例外なく高収益です。 CS改善の第一歩は、お客様の本音を吸い上げることでしょう。そうすれば、何を改善すればよいのかはっきりします。「見て見ぬ振り」はいけません。叱り飛ばすだけでも変わりません。 当社は遅まきながら、CSを改善するための組織をつくり、権限を与えました。一時は40%台に落ち込んでいた顧客満足度ですが、今ようやく70%くらいに改善しました(グラフ2)。 目標の80%に達するまで、あと一息です。
さて、レンタカーのCSを考えるうえで、最近痛切に感じていることがあります。
SS業界でのレンタカービジネスは、2009年頃にスタートしました。当時は「格安レンタカー」として既存市場に切り込んだわけです。
「格安」を実現するためには、中古車を使おう。きちんと整備し清掃すれば、国産車の品質なら問題ないだろう。
そもそも「お客様から下取りしたり不要車として買い取った中古車を、何とか有効活用したい」との思いから、当社のレンタカービジネスは始まったのです。
果たして、この「格安レンタカー」に、あらゆるマスコミが賞賛し、多くのユーザーが支持してくれました。それが今日のSSレンタカー新市場の発展につながっているわけです。
あれから8年が経ちました。相変わらず高評価のお客様が圧倒的に多いですが、市場規模が大きくなるにつれ、ニコニコレンタカーのFCネットワークの中だけでも不満を発するお客様の声が無視できなくなってきました。
接客に対する不満は、業務の標準化、教育・管理の徹底や評価基準で解決できます。セールスをしなくていいので、接客はきわめてシンプルです。
問題は車両品質に対する不満です。いかに丁寧に作られた日本車と言えど、経年劣化はあります。初度登録から5年を超えると、メンテナンスコストが年々嵩むようになります。確実に壊れるものなのに、点検などで予知しにくい電装部品などもあります。
顧客の不満だけではありません。SSにとっても、いつ壊れるか分からない不安、クレーム対応に関わる手間、SSスタッフのストレスやモチベーション低下など、「中古車レンタカー」であることの弱点を強く意識せざるを得ません。
そこで「レンタカーに新車を活用しては?」という考えが頭をもたげます。
新車は故障しにくいし、故障してもメーカーが保証してくれます。自動ブレーキシステムなど最新装備で事故率が激減しているデータがあることも耳にします。
お客様のクレームも激減し、CSが大きく向上するに違いありません。
問題はコストです。
当社はSS以外にもレンタカーの専業店を5箇所運営しています。SS兼業と異なり、専業店は家賃も人件費も設備費もレンタカーだけで賄わなければなりません。
したがって、損益分岐点は高く、兼業店の2倍以上のレンタカー稼働率が求められます。
このため損保会社などに「当店のレンタカーを代車として活用してください」と営業活動しています。ところが「中古車だから」という理由でなかなか使ってくれません。
仕方ありません。とりあえず50台の新車をリースで導入しました。その結果、意外な事実が判明しました(表3)。
車1台当たりの月額料の差が少ないのです。普通乗用車やワンボックスクラスで4000円、軽自動車だと300円ほどです。
新車は高い残価が設定されるため、リース料は意外に安いのです。「人気車種ほど安くなる」という何とも不思議なのがリースです。
すなわち、中古車も新車も大して変わりません。車両原価の安さではなく、ローコストの事業構造こそが「格安」を実現しているのだと改めて思います。
表4は、当社仲町台SSでの兼業レンタカーと、新横浜にある専業レンタカー店の月間実績を比較したものです。
事業規模(車両台数) が2倍以上違いますが、車1台当たりの実績を比較するとよく分かります。
専業店に比べ、兼業店は経費が26,000円/台も低いのです。ですから、兼業レンタカーは利益率50%以上の高収益ビジネスたり得るのです。
仮に、仲町台SSの71台の車両すべてを新車に置き換えるとどうなるでしょう。
車1台当たりの原価が5,000円上がったとしても、35万円のコストアップにしかなりません。すると利益率は46%となりますが、やはり十分な採算ビジネスです。
しかも「新車にすればCSが上がる」「CSが上がれば売り上げも上がる」という因果関係がはっきりしてきた以上、ためらう理由はありません。
さっそくSSレンタカーに続々と新車を投入してみる実験を開始することにしました。