整備業の統計データを見ると、車検や整備といった自動車アフターマーケット(すなわち、油外市場)の規模は現在8兆円です。
10年前は、10兆円以上ありました。つまり、この10年間で市場規模が2割縮小したことになります。
アフターマーケットの縮小に比例するように、われわれSS業界においても、SS数はこの 10年間で2割減少しています。
先日、「東京ビッグサイト」で開催されたオートサービスショーを見てきましたが、隔世の感を禁じ得ません。
以前のオートサービスショーは、整備システムの有力業者などが、大型ブースで自慢 の品々や、イチ押しのサービス・ニュービジネスなどを華やかに展示・紹介し、ハイレグ姿のコンパニオンを配して来場者を引き込んだり、あるいは、洗車機業 者が派手なパフォーマンスを繰り広げていたものです。
そして、自動車・整備・SSの各業界から足を運んだ多くの来場者が、通路を押し合うよう にして、今回出品されているものは何だろうかと見て歩き、また、カタログを両手いっぱいに抱えて持ち帰るのが常でした。
しかし、今や往事の華やかさは失われています。来場者の姿も、古くからいる業者同士がお付き合いで会場へ来ているような雰囲気さえ感じられました。
カーショップ、カーディーラー、整備専門業者はおのおの、自らの生存をかけて限られたパイの奪い合いをしています。
市場が縮小に転じている状況では、巨大店舗をつくって大商圏から広く浅く顧客をかき集めるより、地域に密着した店舗で足元商圏を深堀りする、いわゆる「小商圏戦略」が強まることでしょう。 そして、商品やサービスに新たな機能や品質を付加して差別化を図ったり、それを商品展示やPOPなどで効果的にアピールしたり、あるいは、小商圏告知に適したきめ細かな訴求方法を開発するといった競争が展開されていくことでしょう。
市場の変化とともに、販売促進の方法も変化しています。
SSが油外商品を顧客に告知する方法は次の3つに大別されます。
①店頭での声かけ
②ダイレクトメール、ダイレクトEメール
③チラシのポステイングや新聞折り込み
店頭での声かけは、SSスタッフが顧客にダイレクトに告知するものです。手軽で効果的な方法ですが、給油がセルフ化することにより、SSと顧客の接点は限られ、人員の合理化も相まって、販売と行動の量が伴わなくなっています。 また、水抜き剤や添加剤など声かけのしやすい商品に対する、消費者の反応も冷淡になっています。
販促予算が削減された昨今は、顧客リストを獲得してダイレクトメールを発信する機会もめっきり少なくなりました。Eメールは、販促コストが掛かりませんが、やはり顧客接点の不足と人員不足により顧客のEメールアドレスが獲得しづらくなっています。
同様に、ポスティングや新聞折り込みの回数も減っています。
ところで、最近でたらめなポステイング代行業者が目立つので注意が必要です。
「ポスティングの反応があまりにも少ない」。ちゃんと配布しているのかと疑問に思い、代行業者に抗議しても、「ちゃんとやっています」の一点張り。
そこで日本郵便の「タウンメール」を使ってポスティングをしてみました。
同じチラシを配布して、ある代行業者の反応率は2%、「タウンメール」だと10%。
単価はやや高いですが、しっかり配布されると効果は5倍になりました。
広告や販売促進に対する消費者の心理プロセスを表す考え方として「AIDMA(アイドマ)の法則」(表1)があります。
今から90年前にアメリカの広告業界で考えられた、伝統的なマーケティングの考え方です。
消費者は、まず声かけやチラシに注意を惹かれます(Attention)。 潜在的にニーズを持っていた人は、興味をもちます(Interest)。さらに、知ることによって欲しくなります(Desire)。いつか買おうと記憶します(Memory)そして予算をつくって購入します(Action)。
このプロセスの頭文字をとって「AIDMA」と表現します。
しかし、近年のネット社会において消費行動に変化が生じ、日本の電通などが「AISAS(アイサス)」という新しい消費行動プロセスを提唱しています。
「注意を惹かれて、興味を持つ」までは同じですが、消費者は次に興味を満たすため、ネット上で検索(Search)して調べます。その結果、意志決定して購入(Action)します。購入すると、今度はその情報をネット上で共有(Share)し合います。
ネット上の評価が、また新たな消費者を生み出します。
ネット社会以前は、メーカーや店舗が商品情報を発信することにより、購買行動に至 らしめていたわけです。しかし現在、インターネットという豊富な情報獲得の手段を得たことにより、消費者は商品の詳細情報だけでなく、類似商品の情報や、ユーザー情報などを見て意思決定します。
低価格レンタカービジネスは、その顕著な例です。
新聞記事やテレビ番組、あるいはSS店頭の告知物で、消費者は低価格レンタカーの存在を知り、ネットで調べ、レンタカーを予約し利用します。そして、ブログやツイッターなどでその情報を共有します。
このプロセスにおいて、SS店舗ができることは、店頭看板などで注意を惹くことと、検索 でヒットするようにネット上に情報を置くことです。消費者が勝手にwebで調べて意思決定するので、店側では、消費者の価値判断に委ねるのみです。
店頭の声かけから購買までのプロセスをその場で完結していた従来の油外販売スタイルでは、考えられない現実があります。
もうひとつ例を挙げます。
当社のレンタカーは、走行距離が15万kmを超えると引退させることにしています。整備を定期的に行っているため、車の走行性能は保たれていますが、年式が古いため市場価値はありません。
そこで3年ほど前から、レンタカーをリタイヤした車を希望する顧客にリースしてきました。「スーパーリース」という名称で、リース科は1日500円と格安 です。この手軽さが受けたようで、ほとんど告知していないにも関わらず、ユーザーは増えています。
手応えを感じたので、この中古車リースサービスを「ニコリース」と名付け、7月1日にホ ームぺージを立ち上げました。
何と4日間で3,000件のアクセスがありました。月間2~3万件のペースです。「冷やかし」を除いても、1万人の潜在顧客が訪問したと推測されます。
世の中には、すでに「中古車リース」というサービスは存在していますから、おそらく自営業や中小企業などが経費削減に躍起になり、有益な情報を収集している姿が想像できます。その過程で当社の「ニコリース」が検索にヒットし、ホームページにアクセスしたのでしょう。
「メディアミックス」という言葉があります。文字通りメディア(媒体)をミックス(組み合わせ)させることです。
当社のレンタカーは、SSの店頭看板だけでなく、車検の折り込みチラシの一部や、路線バスの車体広告(月5,000円/台)、駅構内のポスター(月5~10万円)などで告知しています。
しかし、告知スペースが限られているため、ここでは十分な情報を提供せず、ホームページに誘導します。
ユーザーはインターネット上で調べ上げ、そのうえで予約してくれます。
つまり、顧客に「注意」を喚起し「興味」を抱かせれば、顧客は「検索」してくれます。ホームページにアクセスしてくれれば、そこで詳しい情報を提供し「口説き落とす」わけです。
読者の皆さんも、良さそうな飲食店を見かけたら、「ぐるなび」などでメニューや価格、ユーザー評価などをチェックすることがあるでしょう。 SS業界も、店頭告知とwebの連携を真剣に考える必要がありそうです。
中古車リースのニーズについても述べておきます。
先述したように、中古車リースには法人が強い関心をもっています。(表2)は、3カ月間借りた場合のレンタカーとリースの比較です。
営業車をもつ会社なら当然関心を引く数字だと思います。
そして、実際にホームページを立ち上げた途端に、用意した10台の在庫が瞬間的にリース契約に至り、そのため、慌ててサイトを閉じました。
中古車リース利用者の声を聞くと、例えば、社員を3カ月間研修に行かせたい、しかし、研修場所と宿泊施設の往復の「足」に困っているというケースがあります。
ほかにも、企業には自動車に対する様々なニーズが存在することが分かってきました。ニーズでありながら、既存業界の提案は、新車をベースとしたものが主体で、痒い所に手が届かないもどかしきを感じているようです。
エコな低燃費車が脚光を浴びていますが、走行性能をもちながら市場価値の失われた車をリサイクルする、すなわち、積極的な活用を促す提案も循環型社会に寄与するものだと思います。
走れる限り(灰になるまで)車を使いきり、そして、隠れて見えない消費者ニーズに対応することこそ、地域密着型SSの社会貢献となるのではないでしょうか。
メディアミックスによって、こうした新たな提案を世に知らしめることがより重要となってきたのだと考えます。
●●様(30代:男性)平成21年8月~平成22年6月までご利用
●●様(40代:男性)平成21年4月~平成23年3月までご利用
●●様(50代:女性)平成21年9月~平成22年3月までご利用
●●様(50代:男性)平成21年11月~現在もご利用中
F社(一般企業)平成21年9月~現在もご利用中