2022年12月も当社のSSの営業利益は、前年を超えられませんでした。
昨年9月から4カ月連続マイナス成長です(表1)。
8店合計で経費が2,380万円増えたにもかかわらず、油外粗利は2,000万円しか伸びませんでした。おまけに燃料油が380万円減少。
ここ2年間、油外収益を強力に牽引してきた「車販」が、頭打ちです。かろうじて前年実績をクリアしましたが、計画値245台6,180万円に対して、実績195台5,170万円でした。販売台数・販売単価ともに計画に届かず、1,000万円の穴を開けてしまったわけです。
原因は2つ。先月号でも触れましたが、新車の生産が復活した反動で中古車市場が縮小したこと、そして、当社の車販スタッフを拡充できていないことです。これが解消されないまま2023年を迎えてしまいました。
堅調なレンタカーは、前年比450万円のプラス。手がかからずありがたい商品ですが、そろそろ飽和点にさしかかっているかもしれません。
12月の各店の保有台数および台当たり売り上げを、前年と比較してみました(表2)。
全店とも前年より増車していますが、台当たり売り上げは減少に転じています。レンタカーの運用状況を細かくチェックする必要はありますが、どの店も売り上げは商圏内推定需要を超えており、今後はレンタカーの増車に慎重さが求められます。
車販は不調、レンタカーは停滞と重なりましたが、今度は車検が奮闘してくれました。
前年同月と比較すると、入庫台数、台当たり粗利ともに増え、粗利実績4,550万円は前年より940万円増です。
昨年夏より販売促進を復活したことに加え、販売担当者を育成強化する「車検名人制度」が奏効しました。
車検名人制度が奏功したのは、SS利用客の会員化活動がベースになっているからです。
当社のSSは、新規来店客に対する、名取り、メンバーズカードの発行、そしてLINE登録を愚直に実施しています。これを当社では「F1活動」と称しています。
新規客の来店は、車番認識システムが知らせてくれます。SSに配属された新人はまず、「F1活動」を学び、リスト獲得率60%以上、LINE獲得率30%以上、この基準をクリアしなければなりません。
クリアできた者を「F1名人」と呼び、力量に応じて初段から五段まで格付けされ、スタッフルームには柔道場のように「段位札」が掲示されます。
ほとんどのスタッフは二段止まりですが、このほど、本制度が開設されてから初めて「F1名人四段」が誕生しました。
センター南店のアルバイト女性Kさんです。
四段認定基準はかなり厳しく、「6カ月間連続してF1活動を50件以上実施し、リスト獲得率70%以上、LINE獲得率50%以上を継続した者」としています。自らを鼓舞し続け、なおかつ所定の手順を端折らず行動しなければ、なし得ません。
F1活動の際、車検ステッカーを見て、車検満了年月もシステムに登録しています。したがって、登録されたお客様は、日常的に当社の高品質な車検を店頭POPやLINEで知り、車検満了日が近づくとダイレクトメールが届き、さらに、店頭で詳しい説明を聞いていただくことになります。
手順どおりに説明すれば、5割以上がその場で申し込んでくれます。
これを踏まえ、車検名人制度は次のように運用しています。SSスタッフの中から車検名人候補生を店長が指名します。指名された者は、座学で手順を学んだ後、店頭に出て、OJT(実務体験型教育)訓練-すなわち、車番認識システムが知らせた車検対象客に声かけをし、セールスルームに入店していただき、落ち着いた環境で車検を説明し、クロージングします。
OJT訓練中に50回以上商談し、うち4割以上の申込件数を獲得すると、晴れて「車検名人」と認定され、これも「段位札」が掲げられます。車検名人だけが、店頭で車検販売できるのです。昨年8月からこういった制度に改め運用していますが、昨年12月現在、23名の車検名人が各店に配属されています。内訳を(グラフ1)に示します。この中から三段、四段の猛者が輩出されることを願っています。
車検の販売促進では、ミラーリングも改善効果を示しています。
ミラーリングとは、外部スタッフに委託して、SS商圏内の車検対象車両に告知物を配布する活動です。
30年来継続してきましたが、かなりマンネリ化してきたため、これも昨年夏、次のように見直しました。
1)チラシのサイズ、アイキャッチを変更し訴求力強化
2)入庫プレミアムの変更
3)エリア別費用対効果を分析し、配布エリアを絞り込み
4)スタッフ別配布実績を分析し、配布スタッフの絞り込み
5)目標ヒット率を3%と設定
その結果を(グラフ2)に示します。
1.5%程度だったヒット率は、2%にまで改善しました。目標は3%なので、まだしばらくの間、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを繰り返していく必要があります。
当社の決算は6月ですので、2022年7~12月は第37期の上半期となります。この間の実績を振り返ります(表3)。