今年の1月は、クルマの新春売り出し、人事異動、車検キャンペーンなどで、慌ただしくスタートしました。
忙しい割りにあまり儲からない1ヵ月でもありました(表1)。
営業利益は2,200万円、前年並です(6店合計)。粗利が1,250万円増収したものの、経費も1,250万円増えました。
新型コロナ第6波やガソリン価格高騰といった不安要因がありましたが、1月時点では燃料油販売にさほど影響がありませんでした。
当社SSは昨年10月以降、燃料油の増販が続いています(グラフ1)。
とは言え、全体に占める燃料油収益は1割くらい。しかもマージンの半分はクレジットカード手数料で取られていますから、商材としてのメリットはあまりありません。
しかしながら、給油客はL当たり70円近い油外収益を持って来店してくれているわけで、来店数は1台でも多い方がいい。
そういうわけで、当社は燃料油増販(増客)にも一生懸命取り組んでいます。
当社の燃料油増販策の基本はLINEです。2019年からお客様に「お友だち登録」をしていただく活動を始めており、毎月2,000件ずつ積み上がっています(6店合計)。
最初は既存客に「声かけ」をしましたが、半年間でほぼ一巡しました。昨年夏からは、新規客に対するリスト獲得活動の一環で実施しています。
各店に設置された車番認識システムが、新規客の来店を教えてくれます。すると、スタッフがお客様の元へ駆け寄りお願いします。概ね3~4割がその場で登録してくれます(ちなみにリスト獲得率は6~8割)。
LINE登録していただいたお客様には、ガソリン割引をはじめとする特典情報が毎週届きます。
お客様の給油のタイミングはマチマチですが、割引期間が4~5日間だと約1割が反応し、7~10日間だと約2割が反応してくれます。
油外粗利が前年比1,200万円伸びました(6店合計)。
にもかからわず、営業利益が横ばいなのは、経費も増えたからです。これを「骨折り損のくたびれ儲け」ととらえるか、はたまた「先行投資」ととらえるか。
グラフ2は、当社SSの過去5年間の油外と経費の推移です。経費が先行すると(32期、34期)、翌年(33期、35期)の油外が伸び、油外の伸びが鈍化すると経費を増やしてきました。このバランスが繰り返されるうちは、「先行投資」と考えてよいでしょう。
さて、冒頭にも記しましたが、小田原東IC店と新百合ヶ丘店がオープンして1年が経車検を油外の王座から追い落とし、とって代わった「車販」は、1月も絶好調です。 販売台数は182台で粗利4,900万円(8店合計)。もうすぐ200台に手が届くでしょう。 内訳を(表2) に示します。
ところが、車販ビジネスに暗雲が忍び寄っているのも事実です。コロナ禍で新車の納期が長期化したため、買い控えや中古車にシフトするユーザーが増えました。
中古車の仕入れも厳しくなってきました。カーディーラーなどが下取りをした車をオークションに出品せず、自社の商品在庫にして直売するようになったからです。市場に出回る高年式良質車が不足し、価格が高騰しています。
表3は、当社の中古車仕入れ実績です。昨年と比べると、仕入台数は月間100台増やしました。
ただし、応札しても落札できる確率は下がっており、担当スタッフは苦労しています。1台当たり仕入単価も1.2倍に跳ね上がりました。
そこで、当社も下取車を商品化できないかと模索しています。
これまで売ることに一生懸命で、下取り車にまで気が回っていませんでした。仮に、下取ったとしても「商品車」に転用できない車が多くあり、手間ばかりがかかるからと、敢えて無視していました。
当社がもっとも得意としてきた車検が、不調に陥っています。
1月は既存6店の入庫が162台減少し、前年比86%です。
原因の1つは「市場要因」です。
昨年10月以降、車検需要そのものが、前年比で約1割減少しています(グラフ3)。
しかし、1月実績は、それ以上に減少してしまいました。
今年も1月から3月にかけ、車検キャンペーンを実施していますが、車検の位置づけを大きく方針転換したことが影響しているのかもしれません。
現場に浸透し、本気で行動が変わるには時間がかかると覚悟してはいたものの、まさかここまで落ち込むとは…。
このままではキャンペーンの目標達成率が80%を割るかもしれません。
車検の方針を変更したのが昨年9月です(表5)。
当店の生涯顧客づくりを車検から始めていこう、というわけです。美しく芳しい理想の世界に見えるかもしれません。
一言でいうと「PUSH」から「PULL」への転換。車検を買ってくださいと売り込むのではなく、顧客との信頼関係をベースに「任せるよ」と言ってくれるお客様をつくっていきます。
当社は、SSとはまた別の独立した組織「カスタマーセンター」が、車検実施直後のお客様に対して「サンキューコール(電話)」を実施してきました。
少なからず不満の声が上がってきています。
まずは、こうした苦情要因を潰すことから始めました。社内で「車検再生委員会」を立上げ、3カ月をかけて細かい運用方法を見直してきました。
そのポイントを列記します。
いずれも現場が無理な約束をしないため、顧客満足を得るため、当店のロイヤルカスタマーを形成するのが狙いです。
確かに、車検の商品パワーが落ちた面はあるかもしれません。現場の反発や戸惑いもあります。
しかし、「知らぬは社長ばかりなり」「裸の王様」となるのではなく、スタッフたちと真正面から向き合い、意識改革に取り組んでいきたいと思います。