わが神奈川県は2月も緊急事態宣言下にありましたが、当社SSは2,800万円の営業利益を計上(6店合計)しました(表1) 。
14カ月連続して前年を上回っています。著しく成長しているのは、車検と車販です。
車検は、年初から実施しているキャンペーンが絶好調。前年同月比で入庫が106台増、粗利は406万円増加しました。車販は何と倍増しました。前年比105台増、2,120万円のプラスです。
車販実績を店別に見てみます(表2)。
平塚店は隣地に200坪の車両展示場を有します。2月は34台を販売しました。これを上回ったのが、仲町台店と寒川店です。
仲町台店は、道路の向かいに独立運用していた中古車買取店を併合しました。以前は買い取った車両の売却先は、ほほオークション入札か輸出しかありませんでした。しかしSSに併合した途端、エンドユーザーヘ販路が開けました。
買取専門店だった昨年2月の粗利は308万円。SSに併合した今年2月は1,384万円。買取店スタッフを受け入れたので、経費が500万円増加したものの、実質500万円改善したことになります。中古車買取ビジネスにも、SS業態の優位性が発揮されました。
寒川店は店長が女性で、3名の車販担当者も全員女性です。全員アルバイト上がりで、生粋の寒川店育ち。神奈川県郡部のSSなので、決してマーケットは大きくありませんが、きめ細かい接客でお客様の心をつかんでいるのでしょう。専門店顔負けの実績です。
国内で最初にコロナが襲来したのは2020年2月、横浜に着岸したクルーズ船です。その後あれよあれよと猛威を振るい、同4月に最初の緊急事態宣言が発出されました。
「これは大変!」と当社SSは計画を下方修正。最低限生き延びるため、保有レンタカーを大幅に減車しました。
4月、5月のレンタカー売り上げは前年比60%台に沈みました。その後、地元需要は回復しましたが、遠方から利用される 観光・出張需要は依然として回復していません。 ところが、思いがけないガソリンバブルの到来で、口銭は最大18円近くまで暴騰したのです。
当社は販売量も増えていましたから、ダブル増収の恩恵に与りました。コロナショックが襲来する前の2019年、油外客数の拡大を目的にLINE会員獲得キャンペーンを半年間実施した結果、燃料油販売量も20%近く伸びていたのです。
これが相まって、燃料油粗利は2020年6月をピークに前年比2.5倍にまで跳ね上がりました(グラフ1)。
ところが7月頃から、燃料油口銭の伸びは小康状態に陥ります。販売量もLINEキャンペーンの効力が薄れてきました。今年2月は、とうとう前年割れに陥った次第です。
これを救ったのが車販です。
SSスタッフがコロナ禍に危機感を持って余剰レンタカーを売却してくれたこと、そして、レンタカー専業店のメンバーが「中古車架装」担当へ転身してくれたことで、奇しくも当社に中古車販売体制が出来上がりました。
こうしてコロナ第3波にも屈せず、前年比2倍以上の車販実績がもたらされました。車販は決してバブルではなく、現実的な果実です。
コロナ禍で一度も前年割れしなかったのはこういうわけですが、全力で足掻いていると、何が幸いするか分からないなぁと、改めて思います。
年間5,000万円以上の営業利益を安定的に確保するSSを、当社は「ニコニコステーション」と称しています。
昨年6月の決算で、6店中3店がニコニコステーションとなりました。残る3店も時間の問題。このSSフォーマットは、ほぼ完成したと思います。
かくなる上は、このフォーマットが適用できる店を増やしたい。ついては、5年以内に20店に展開しようと計画しました(表3)。
SSの規模や立地により、期待営業利益をS~Dの5ランクに分けました。
これに基づき、さっそく2021年1月、Dランク相当の小田原東インター店(小田原市)をオープンしたことを先月号の本稿でご紹介しました。
そして2月、Sランクを目指す新百合ヶ丘店(川崎市)がオープンしました(表4)。
「5年以内に20店」と決めたのは、経営環境の変化が激しく、いずれこのフォーマットも陳腐化するに違いないと思うからです。
今最も騒がれているのは、内燃機関(ICE)の新車販売を禁止するという政府の発表でしょう。マスコミを含め、様々な人が、それぞれの立場でいろいろなことを言っています。
これを機にSSに見切りをつけてしまう経営者が増えてしまうのは残念です。その反面、当社がニコニコステーションとして運営できる好条件な案件が続々出現しそうです。
しかし、本当にEV(電気自動車)だけの時代が到来するのでしょうか、ハイブリッドは容認されるのでしょうか、そもそも今の政権がいつまで続き、この方針が2030年代まで引き継がれ、具体化・法制化されるのでしょうか・・・。未来像がまったく読めません。
今のところは、マスコミ報道などにいたずらに踊らされることなく、私たちは冷静にユーザーの動きを注視したいと思います。
ともあれ、当社は「5年以内に20店」と決めました。あと12店です。
全店を早期に黒字化するには、人材の確保と育成が最重要課題。そしてスピード最優先。じっくり準備していては頓挫します。
そこで「SSカレッジ」なるものを作りました。SS部門の営業部長を校長に据え、本社とSSで構成される横断組織です。
当面の育成テーマは3つ。
今後、任意保険の販売など研修メニューを増やす方針ですが、一定レベル以上のスキルを持つスタッフを多数育成することにより、新規出店に際しても即戦力として活躍できる人材育成を目指します。
すべての研修は(A)座学研修、(B)現場実践研修、(C)日常活動レビューの3段階で行います。
このうち(B)は、SS現場で、リアルなお客様を相手に、正しい手順、トーク、ツールの使い方を体に叩き込む「千本ノック」です。
さっそく2月は、新百合ヶ丘店のオープンイベントを、(B)現場実践研修の場としました。 イベントですから、たくさんの来店客があります。お客様もハイテンションなので、研修生のアプローチに応じてくれやすくなります。その成功体験が自信となり、次につながります。
まずは各店で最近採用した新人スタッフを優先し、➊新規客の会員化と、➋車検販売の研修を実施しました。
その結果をまとめましたのでご紹介します(表5)。
この手順を体得した新人たちが各店で活躍し、ひいては、すべてのSSスタッフが同じ行動をとり、結果を出してくれることを期待しています。