新年あけましておめでとうございます。 今年はコロナが一掃され、東京オリンピック・パラリンピックも無事開催されることを祈ります。当社SSの昨年11月の実績がまとまりました(表1)。
前年との比較では、燃料油粗利が270万円増加、油外粗利が1,120万円増加。経費も550万円増加。したがって、営業利益は840万円増加し2,700万円、1店当たり450万円です。当社の月間利益のギネスを、11カ月連続で更新中です。
経費の増加以上に油外粗利が増加したのは、SSが燃料油に依存していないことを示し、申し分ありません。
もちろん、燃料油口銭が今もL6円台をキープしていることも、ありがたいと思います。
ちょうど2年前の11月にオープンした堀之内店が、安定的に収益貢献するようになったことにも満足しています。
油外を商品別に見てみましょう。
車検が好調です。前年比112台伸び、913台となりました。
1店当たり152台。SSが取り扱える唯一の法定需要商品なので、販売体制を整え、維持さえしておけば、これほど手堅く安定する商品はありません。
車販は前年比倍増の133台となりました。中古車在庫の充実と中古車リースの商品化が好調の要因です。特に、仕入れた中古車を商品化(架装)するための人員および設備を確保したことで、販売台数の拡大に弾みがつきました。
レンタカーは、コロナに振り回された1年でした。夏以降、復調しつつありましたが、コロナ第3波の影響でしょうか、前年比160万円下がってしまいました。それでも粗利益の4分の1を占める看板商品の一つです。
新年にあたり、明るい話題をご提示したいと思います。
このところ本稿では、SSというビジネスフォーマットが、いかに高収益業態になり得るか、その可能性を検証しています。
年間5,000万円以上の営業利益を生み出すSSを、当社では「ニコニコステーション」と呼んでいますが、昨期は、当社直営の6店中、3店が「ニコニコステーション」になりました。
今期はどうでしょう。期首の7~11月までの5カ月間、6店の合計実績を集計してみました(表2)。営業利益は累計1.5億円。つまり1店当たり月間平均500万円の大台を超えました。年間6,000万円/SSのペースです。
あくまで平均値ではありますが、コロナ禍の中にあって、この実績。「ニコニコステーション計画」は、ほぼ実現したと言っていいのではないでしょうか。
ーーーと、気を吐いたところで、SS業界の大半の方は、冷めた目で見ているかもしれません。私一人が騒いでいるだけかもしれませんが、そもそも「ニコニコステーション計画」を掲げた背景と経緯について述べたいと思います。
最初に大風呂敷を広げたのが2013年。「2020年までに年間5,000万円以上の営業利益を上げるSSを創り出します」と、世間に公表してしまいました。当時、ガソリン需要は年々減少していました。しかも激しい価格競争は一向に収束せず、多くのSSが疲弊し、撤退や倒産も相次ぎました。
当社も例外ではありません。
特に2012年に運営継承したばかりの寒川店は、赤字が解消される目処が立ちません。他のSSのスズメの涙のような利益では到底カバーできず、その結果、SS事業は年間1,500万円の赤字。
「撤退」の二文字が私の頭を何度もかすめました。
しかし当社には、絶対に撤退できない理由があります。なぜなら当社の本業はSS業界のマーケティング支援業。有効なマーケティング戦略や戦術を直営店で試し、検証・開発し、SS事業者に提供させていただくことを商売としています。
…にもかかわらず、直営店さえ黒字運営できないとなれば、誰も当社の商品やサービスを注文していただけないでしょう。すなわち当社にとってSS業からの撤退は、会社の存在基盤を失うことに他なりません。当時、当社の従業員は約200人。彼らの生活基盤を消滅させるわけにはいきません。
かくなる上は、背水の陣。直営店を黒字化するより他に、当社の生きる道はなかったのです。こうした危機感から打ち出したプランが「ニコニコステーション計画」です。
どうせやるなら、スタッフたちがSSで働くことにプライドを持てる店にしたい。すなわち国内ロードサイド店の中でもトップクラスの利益を安定的に確保できるSS業態を創り上げたい。
達成期限は7年後の2020年。
もう一つ。自分自身に対する「逃げ道」を断ち切らなければならない。いっそこのプランを公開してしまおう。
そういうわけで、「ニコニコステーション計画」を発表してから、以来、その実態を本稿でお伝えしている次第です。
決して自慢したいわけではありません。うまくいったこともダメだったことも、ありのままの実態をお伝えしてきました。
本稿は「油外放浪記」という呑気なタイトルです。外部から見ると、暇なオヤジがSSをダシに使って遊び半分にやっている、ように見えるかもしれません。しかし、実際は水鳥が水面下で足をバタバタするように、全力本気モードでもがいてきた7年間でした。
ニコニコステーション計画の目標と、それに至る実績の推移を(表3)にまとめました。 いったんこの7年間を総括してみたいと思います。