10月の当社SSの営業利益は2,400万円(6店合計)となりました(表1)。
月間ギネスを更新し続けています。当社の期首は7月ですが、10月までに1.17億円の営業利益が積み上がりました。
前期の営業利益は、同期間で0.78億円、通期で2.46億円でした。今期、このペースが続けば、通期見通しは3.7億円となります。1店当たり平均6千万円。
当社は長年「年間5千万円以上の営業利益を稼ぐSS」づくりを目指してきましたが、もはやこれは「目標値」ではなく、「基準値」となってきた感があります。
10月の油外実績の内訳を見ます。 レンタカーがようやく回復しました。地元生活圏需要を主ターゲットとするニコニコレンタカーは、コロナショックによる影響は最小限にとどまり、6月以降回復しました(グラフ1) 。
旅行・観光需要をも積極的に取り込んできた当社のSSは、過剰な車両を売却したため、前年割れが続いていましたが、しかし、10月にやっと前年実績を上回ることができました。
昨年10月は402台で2,740万円、今年は344台で2,850万円です。レンタカーを60台減らして売り上げは100万円増。1台1台の稼働率が上がったわけですが、さすがにキャパオーバー気味かもしれません。
次に車検です。
入庫台数が突如増えました。昨年10月は676台、今年は900台です。特に行動を変えたわけでもないのに30%以上も増えてしまったのは、逆に気持ちが悪い。
調べてみると何のことはありません。昨年10月は消費増税があったので、増税前の駆け込み入庫が多かった。というよりむしろ、昨年が異常値だったのです。 2年前と比較すると、新しく加わった堀之内店の分だけ増加したに過ぎませんでした(グラフ2)。
既存店の中で、寒川店だけが大きく増加しているのも気になります。 これはガソリン販売量の増加に比例しています(グラフ3) 。
新規客の会員化に加え、2019年1月以降、今もLINEの活用を徹底しています。その結果、ガソリン販売量の前年同月比は、22カ月間連続して伸びています。
こうしてSS利用客数が増えたわけですが、来店客に対する車検販売活動も、愚直なまでに徹底しています。
車販台数も大きく増えました。
昨年10月は56台、今年は128台と倍増です。
皮肉なことに、このきっかけを作ったのが新型コロナでした。
6箇所のSSおよび8箇所のレンタカー専業店で運用していたレンタカーを数百台売却する必要が生じました。 SSにも危機感が生まれました。
本社もホームページや中古車サイトで集客したり、多様な販売方法(中古車リースなど)を開発する必要にせまられました。
そして何より、休業や規模縮小を余儀なくされた専業店のスタッフを本社に集め、商品在庫を増やすための専任部隊を結成しました。彼らが中古車をどんどん仕入れ、商品化し、ネットに掲載したりSS店頭に陳列しています。
当社は2016年に「新車リース」をリリースしてから、以来、各SSには複数の車販スタッフが育成されました。お客様にも「車が買えるSS」との認識が醸成されてきました。新車リース市場は数年で「レッドオーシャン」(飽和状態)となりましたが、車販が活性化した流れは止まりません。
中古車の在庫販売やリースという商品アイテムを加え、ついに6店の車販実績が128台となったわけです。
「1店当たり月間車販20台」が積年の悲願でしたが、今後もこの水準が続くことを期待します。
今、当社SSの中古車販売において、一番のボトルネック(障害)となっているのは、車両を商品化(中古車の美化清掃やコーティング)する作業キャパシティです。
行きがかり上、仲町台店の片隅で作業してきましたが、1日当たり5~6台が限界です。
AA(オートオークション=中古車の卸売り市場)から買い付けた車両が、商品化されずに駐車場に溜まり、ついには収まり切らず、コインパーキングを借りる本末転倒な事態に陥る場面さえ出ています。
そこで目をつけたのが、成田空港前に出店しているレンタカー専業店(現在休業中)です。その隣地は、空港利用者のための駐車場でした。しかしコロナ禍により、駐車場業者が早々に撤退。「空いた土地(約1000坪)を借りてくれないか」と地主さんからオファーがあったのが5月のこと。
当社としてもレンタカー休業中で、それどころではなかったのですが、「隣地は倍額を出しても買え」と言うし、賃料も破格でしたので、借りることにしました。
いずれコロナが収まり、航空需要・インバウンド需要が復旧すれば、レンタカーを500台くらい揃えて一気に損失を取り戻せばいいと、あまり深く考えず賃貸契約をしました。
その後も店は休業中、借りた土地は遊ばせていたわけですが、「ここを中古車の商品化センターにしよう」と思いついたのが、9月のことでした。本社・横浜市内から片道2時間近くかかりますが、月間250台以上の中古車を商品化するための生産拠点とすることにしました。
以来、排水工事や洗車機の設置、現地アルバイトも募集しており、いよいよ11月から稼働する運びとなりました。
すると今度は、販売拠点の増加が課題となります。6箇所のSSだけでは心許ない。直営SSをあと2箇所増やしたい。さらに8箇所の既存レンタカー専業店でも車販を事業化できないか…などと思案しています。
直営SSを増やしたい理由がもう一つあります。
先月号で、仲町台店の店長に同店副店長を、センター南店の店長に堀之内店の副店長を昇格させたと述べました。
店長初心者でありながら、前任者以上に活躍しているその姿を頼もしく感じます。
高収益SSの枠組みや構築手順が完成しつつあります。そして「年間5,000万円以上の営業利益」を「当たり前のこと」と感じる2番手、3番手の若いスタッフも育ってきています。
彼らに活躍の場を与えるためにも、全SSスタッフに夢と働きがいを与えるためにも、新たなSS拠点を開発する必要が生じてきました。
しかし、どんなSSでもいいわけではありません。
「年間5,000万円以上の営業利益を生み出す店」(当社では『ニコニコステーション』と称しています)に必要なSSの要件を整理してみました。
表2に示すとおり、要件ポイントは合計30点満点です。
20点以上を獲得できるSSは「ニコニコステーション」になれる可能性が高いと思われます。
20点未満では困難。現実問題として、日本のSSの半数以上は15点未満ではないでしょうか。
たまたま堀之内店のように好条件の案件が見つかっても、元売会社からは「投資基準に見合わない」と断られ、結局4億円もの自己投資をしなければなりませんでした。当社のような中小企業では、そうおいそれと次々に投資できる額ではありません。
かつて元売会社の幹部が酔った勢いで、本音を吐かれたことがあります。「MICさんに紹介されるSSは、瑕疵のある案件だけですよ」と。
なるほど。ということは、瑕疵案件なら当社も出店できるということです。
そこで今年7月、社内に「ニコニコステーション・ジュニア」プランなるものを打ち出しました(表3)。
要件ポイントのハードルを下げ、10点程度なら合格。営業利益目標は年間2,000万円程度です。
小規模店なので投資額も小さく投資回収も早い。投資回収が早ければ、経営環境の変化にも柔軟に対応できます。
特に自動車関連ビジネスは今後ますます変化が激しくなるので、小回りの効く設備、小回りの効く組織の方が適しているかもしれません。