当社SSの営業利益は、7月も当月ギネスを更新しました(6店合計/表1)。
これまでの当月最高記録は2017年7月の1,664万円、今年は2,636万円ですので、約1,000万円更新です。 コロナ禍による外出自粛で落ち込んだ燃料油販売量は、すっかり前年並みに戻りました。口銭が高止まりしていますので、燃料油粗利だけで1,000万円以上増加しました。
車検は順調に伸びています。
車販はレンタカーなどを安価販売したので台数は倍増しましたが、粗利はやや減りました。
そのレンタカーも新型コロナの影響がほとんどなくなりました。6月、7月と復調しています。 当社SSはここ数年、「押せ押せ」でレンタカー車両を増やしてきました。しかし4月末に緊急事態宣言が発令され、経費削減のため、慌てて余剰車両を減らそうと舵を切りました。
店別に見ると6店6様です(表2)。
仲町台店、堀之内店は大きく減車しました。それが後を引き、いまだ需要の回復に追いついていません。一方で、センター南店は減車しそびれました。そのため、需要回復の波に乗ることができました。
平塚店、寒川店は減車したものの、うまく車両の稼働率が高まり、回復需要を吸収することができました。
当社SSは市場規模以上に車両を増やしたので、このようにジタバタしたわけですが、ほとんどのSSレンタカー店は、身の丈に合った(または身の丈以下の)車両台数しか保有していません。したがって、新型コロナによる影響は最小で済んだようです。
グラフ1はニコニコレンタカー1500店の利用回数を前年同月と比べて、推移を示したものです。 大手レンタカー店と比較してみました。
生活インフラとして活用されるニコニコレンタカーは、4月をピークに下げ止まり、6月はほぼ前年並みに回復しました。
一方、ビジネス・旅行・観光需要をメインターゲットとする従来型レンタカーは、いまだ回復の兆しなく壊滅状態です。
さて、コロナ禍が長期化することを想定し、車検客に対する「定期点検」の実施を重点化してきました(当社では「サイクル点検」と称しています)。
前年同月比率の推移を「グラフ2」に示します。
4月、当社SSの燃料油販売量(すなわち来店客数)は2割減りました。 びっくりしたSSスタッフたちは5月、点検によって不具合箇所を指摘し、整備を一生懸命すすめました。その結果、前年比1.5倍のメンテナンス収益を得ました。
ところが6月から燃料油販売量も油外収益も回復し始めます。たちまちスタッフたちの危機感と熱意は薄れてしまいました。
当社は6月に決算を迎えました。表3は、第34期の決算結果です。
6店合計の年間営業利益は、前期は1.3億円でしたが、今期は2.6億円と倍増しました。 当社は年間5,000万円以上の営業利益を稼ぎ出すSSを「ニコニコステーション」と呼び、その実現を2014年から目指しています。
一番乗りは仲町台店でした。2018年(第32期)に5350万円、続く2019年(第33期)は6,391万円の営業利益を上げました。
2年連続して「ニコニコステーション」」の称号を得たわけですが、実は、仲町台店しか実現できていないことに一抹の不安がありました。
これはもしかしたら、仲町台店だけの特殊事情による「例外」あるいは突然変異ではないのか。果たして、他のSSでも「再現」できるものなのか?
もしも仲町台店が「例外」なら、他のSSのスタッフのモチベーションを維持できません。 本連載「油外放浪記」をご愛読いただいている皆様にも、「今までの話は何だったのか」と思われても申し開きができません。
しかし、ついに第34期、晴れて6店中3店が年間営業利益5,000万円(月間平均417万円)に達し、「ニコニコステーション」になりました。 コロナ禍を吹き飛ばしての快挙です。
さぁ、これでどんなSSにも年間営業利益5,000万円以上を実現する途が大きく拓けたと考えていいでしょう。普遍的に通用する標準手順、これを積み上げさえすればいいのです。
他のSSにも「後に続け!」と鼓舞できますし、私たちと同じく油外販売で増収増益を目指される、すべてのSS経営者の皆様に対しても、自信を持って「できますっ!」と言えます。
3店がニコニコステーションに至った経緯をかいつまんでご紹介します(表4)。
当社MICの本業は、販売促進支援業です。
SS運営はいわば兼業です。 もしもマーケティングの仮説通りに販売促進を実践すれば、ガソリンも洗車も飛躍的に増販できるに違いない、その実験台として始めたのが仲町台店です。
目論見どおり、開店1年でガソリン販売量は月間800kl洗車粗利は600万円に到達しました。 しかし短期間に湯水のように販促費を投入したため、毎月300万円を超える赤字を出していました。
それから20年、私の「油外放浪」の旅が始まりました。 幸い当社は、SSの赤字を本業の収益で埋めることができました。
しかし一般的なSS事業者の皆様は100万円、1,000万円、億単位の「実験・開発」コストを右から左に使うことなどできないでしょう。
私が道楽まがいに得てきた教訓をお役立ていただければと、本稿をしたためている次第です。 とりわけ、いくら努力しても失敗する商品があります。次のパターンに該当する商品は手をつけないほうがいいと思います。