格安のレンタカー店が増えている。新たな収益源を求めて参入するガソリンスタンド(GS)や中古車販売業者が増えているためだ。車を持たない人を中心に人気を集め、急成長するチェーン店も出てきた。
GSの参入、相次ぐ
「レンタカー革命2525円~」。横浜市のGSに格安レンタカーの黄色い看板が並ぶ。中古車を利用したレンタカーチェーン「ニコニコレンタカー」を 運営するレンタス(横浜市)の加盟店だ。
大手自動車メーカー系列のレンタカーと違い、使う車は5年落ちや10年落ちが当たり前。その分、利用料金を安く設定できる。
最も安いクラスの会員価格は12時間で2525円。最大手トヨタレンタカーの半額程度で、車を持たない客のリピーターが増えているという。小林修専務は「安い値段で乗れる手軽さを実感してほしい」とPRする。
レンタスは2009年にサービスを始めた。加盟店を募るフランチャイズ方式で、22日時点で932店まで増やした。都内に138店、大阪府に105店、愛知県に46店、福岡県に35店など都市部を中心に全都道府県に店を置く。年内に計1000店、来年末に1500店にする計画という。
加盟店の大半がGSだ。 低燃費車の普及や若者の車離れで、ガソリンの売り上げは減る傾向が続く。新たな収益源として、レンタカーに期待をかけている。
中古車の買い取りや転売を手がけるGSは最近、増えていた。そこで、買い取った車をレンタルに回せば比較的簡単に事業を始められる。車の整備や洗車、駐車場も既存の設備を使えるので追加投資も少なくてすむ。中古車販売業者や整備業者、カー用品店などの参入も増えているという。
10分100円
■スポーツカーに特化
新車・中古車の販売や整備などを手がけるカーベル (東京都中央区)が運営する「100円レンタカー」 は、一番安い車種なら10分あたり100円で貸す「激安」が売りだ。
東京・日本橋浜町で弁当店を営む木下栄八さん(64) は、弁当の配達に利用して いる。都心の駐車場代は月に3万~4万円と高いので車は持っていない。かつてはタクシーで配達していたが、「100円レンタカー」なら1時間借りても出費は600円で済む。「車の維持費が払えない都心の利用者にはありかたい」と言う。 手頃な価格で借りられる、変わり種のレンタカー業者も現れた。中古車販売業者の「はなぐるま」(千葉県野田市)は、スポーツカーと高級輸入車に絞った「おもしろレンタカー」を10年春に始めた。6時間の料金は、マツダのロードスターRSが5400円、日産のフェアレディZロードスターが7000円と抑えた。 既存のレンタカーチェーンではなかなか乗れない車種を前面に売り込む。
ただ、格安レンタカーでは、サービスを姶めたばかりの小規模の店が多く、大手に比べると車の「品ぞろえ」が少ないという弱点もある。利用者にとっては、業者の繁忙期には借りたい車がない可能性があることも覚悟する必要がある。
また、大手チェーンが今後、値引きで対抗してくれば競争が激しくなり、格安チェーンの経営環境が厳しくなる可能性もある。(角田要)